カラスの飼育⑨ -5-
2005/06/03
はじめまして・・・私は
ここの銭湯の警備犬である。私の任務はボイラー室への不審者の侵入阻止である。これまでのところ、任務の遂行は完璧であると業者の方からもお褒めをいただいている。私も鼻が長い、いゃ、鼻がたかい。
水虫撃退の決定版
がんこな水虫よ
さようなら
ところが、最近、内のご主人ときたら野ネズミだのカラスだのと私に余計な任務を押し付けようとしている。この間は子ネズミのおもりをさせられてやっと一人前のネズミになって開放されたと思ったら、こんだ、カラスだあ？カラスにはいつもおちょくられてばかりいて腹たつったらありゃしないのに今度はカラスの子のおもりだ。やってらんないワン!
こいつらだって一人前になったら、私をからかって「ココマデオイデ、バーカ」とそこら中を飛び回るのに違いない。私に羽根があったらただじゃ置かないんだが何しろ私の足は短い。それにしてもグロいのう。ご主人様はいったい、何を考えておるんじゃろう？こまったもんだワン!
カラスの飼育⑩
2005/06/04
さて、カラスのヒナ太郎と次郎２羽を保護して４日がたつ。次郎の方はすっかり弱ってきてエサをねだるにも元気がなくなった。エサを与えすぎて満腹なのか、与えたエサに問題があったのか、はたまたスキンシップが足りなかったのか、原因は分からないが２羽とも元気がなくなった。太郎の方はもともと３羽のヒナの中でもっとも大きく元気が良かったので、なんとか育ってくれる気がするが、次郎が心配だ。
カミさんのアドバイスにより、元気の無い次郎を、カラスの巣に残した三郎と交換してみることにした。はたして、４日も離れていたヒナと交換して引き続き親ガラスが面倒を見てくれるかどうか心配だが、みすみす死なせたくもなし。意を決して親ガラスの猛攻の中、次郎をたずさえて木の上の巣によじ登り、みごと三郎ガラスと交換に成功!
ここで、われわれはある事実に愕然とさせられる。なんと、４日前、巣に残したヒナガラスの三郎は３羽の中で最も弱弱しく今にも死にそうなヒナだったのだが、あろうことか今３羽の中で一番図体が大きく、しかも体の各部分の発達が最も進んでいたのである。これは、何を意味するのか。われわれが与えたエサは、豚のひき肉、牛乳に浸した食パン、ヨーグルト、それに牛乳などである。およそ１ないし２時間に一度声をかけ、口を開ければ放り込んだ。口を開けなくなるまで放り込んだ。つまり、食べすぎることはあっても、不足は考えられない。
にもかかわらず、われわれはカラスの子育てにおいてカラスの両親に敗北したのだ。親カラスの縄張りは
当銭湯を中心に半径２～３００メートルぐらいだと思われるが、その範囲内にそれほど美食な材料などあるとは思えない。実際、４日前、４羽のヒナのうち満足に成長していたのは１羽のみで残りの１羽はすでに死亡し、残りの２羽も衰弱死寸前だった。
今日、次郎と三郎を交換後、しばらく親ガラスの様子を見た。カラスのことである。ヒナが交換されたことぐらい当然承知している。なぜなら、次郎と三郎とでは体格、色、体毛などに歴然とした差があるからだ。４日前まではほぼ同じだったの今となってはハッキリと別の固体だ。三郎が一番大きくたくましくなった。はたして、親ガラスはアマチュア無線の鉄塔のアンテナにとまったまま、ずっと巣を観察していた。
やがて、一羽が舞い降りてクチバシでしきりに巣をつついている。はっきりとは見えないが様子からするとヒナをやさしく介抱しているか、巣のなかのわた毛の作ろいをしている。また、何かを一度飲み込んではクチバシまでもどしてヒナに与えようとしているような動作もする。しかし、先ほどまでヒナはぐったりとしていて声をかけてもエサをねだろうともしなかったハズ・・・。ともあれ、ヒナは一眠りして目覚めたらまた、エサをねだるハズであるから、親ガラスが巣を見捨てない限り、大丈夫に違いない。
少し、ホッとした。また、２～３日したら、今度は今日親ガラスに戻した次郎が一番大きくなるかも知れない。今日、親ガラスの様子を観察して分かったことは、われわれが考えている以上に彼らはヒナに対してスキンシップとこまやかな愛情表現をしているということだ。また、確信はないが、親ガラスはヒナにエサを与えるとき、そのままではなく、一度ソシャクするか、飲み込んでからまた戻して消化しやすくして与えているかもしれない。あるいは母乳のかわりに唾液か何かをエサにまぜて与えているのかもしれない。そうでなければ、食べたいだけ食べさせたにもかかわらず、これほどまでに成長に差がでるのは理解できない。
食べ物だけでなく、もしかすると、精神的なストレス、不安、愛情不足などもおおいに関係あるかもしれない。今日から、食べ物にゆで卵の黄身を追加する。また、親ガラスに見習って、しょっちゅう愛撫したり、声をかけてさびしがらせないようにするとしよう。
